犬が足を引きずる — 捻挫?骨折?原因と応急処置
この記事は獣医師の監修を受けています
散歩中や遊んでいるときに、愛犬が突然足を引きずり始めると飼い主さんは驚きますよね。犬の跛行(はこう:足を引きずること)は、軽い捻挫から骨折、関節疾患までさまざまな原因で起こります。原因によって緊急度が大きく異なるため、まずは落ち着いて状態を観察し、適切な判断をすることが大切です。この記事では犬が足を引きずる原因、病院に行くべきサイン、自宅でできる応急処置をまとめます。
足を引きずる主な原因
1. 捻挫・打撲
段差からの着地失敗や走っているときの急な方向転換で、関節の靭帯や筋肉を痛めることがあります。軽度であれば数日の安静で改善しますが、靭帯が部分的に断裂している場合は治療が必要です。足を地面につけられるが体重をかけるのを嫌がる、という状態が典型的です。
2. 骨折・脱臼
高所からの落下、交通事故、他の犬との衝突などで起こります。骨折した足は完全に地面につけられなくなることが多く、患部が腫れて触ると強い痛みを示します。小型犬(トイプードル、チワワなど)はソファからの飛び降りでも前足の橈尺骨(とうしゃくこつ)を骨折することがあります。
3. 肉球・爪のトラブル
肉球の切り傷、やけど、異物(ガラス片・とげ・小石)の刺入、爪の割れや巻き爪などが原因で足をかばうことがあります。特に散歩後に突然跛行が始まった場合は、まず肉球と爪をチェックしましょう。
4. 関節疾患
変形性関節症(加齢による関節の摩耗)、膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう:膝のお皿が外れる)、股関節形成不全(こかんせつけいせいふぜん)などの慢性的な関節疾患でも足を引きずります。これらは朝や休息後の動き始めに悪化しやすく、散歩が進むにつれて多少改善するのが特徴です。
5. 前十字靭帯の損傷
後ろ足を突然上げて着地しなくなった場合、膝の前十字靭帯損傷が疑われます。中〜大型犬の中高齢で多く見られ、片足を発症すると反対側も1〜2年以内に損傷するリスクが約40〜60%あるとされています。
今すぐ病院に行くべきサイン
以下が一つでも当てはまる場合はすぐに動物病院へ。
- 足が明らかに変形している(不自然な方向に曲がっている)
- 患部が急激に腫れている
- 触ると悲鳴をあげるほど痛がる
- 足を完全に地面につけられない(挙上したまま)
- 出血が止まらない
- 事故や高所からの落下の直後
- 足以外にもぐったりしている・呼吸が荒いなどの全身症状がある
- 両方の後ろ足に力が入らない(椎間板ヘルニアの可能性)
様子見してよい場合
以下をすべて満たす場合は、1〜2日自宅で安静にして経過を観察できます。
- 足を地面につけることはできる(体重をかけるのを少し嫌がる程度)
- 食欲・元気がある
- 患部に腫れ・変形・出血がない
- 肉球や爪に明らかな外傷がない
- 触っても激しい痛みの反応がない
ただし、2日経っても改善しない場合や、一度よくなったのに再び悪化した場合は受診してください。
自宅でできる応急処置
まずは安静にする
跛行を確認したら、まず運動を中止して安静にします。無理に歩かせたり、患部を動かしたりしないでください。ケージやサークルで行動範囲を制限し、階段の上り下りや飛び乗り・飛び降りを禁止します。
肉球・爪を確認する
足裏に異物が刺さっていないか、爪が割れていないか確認します。小さなとげや異物が見える場合はピンセットで慎重に取り除き、消毒します。ただし、深く刺さっている場合は無理に抜かず病院で処置を受けてください。
冷却(受傷直後)
腫れがある場合は、タオルで包んだ保冷剤を患部に10〜15分当てます(1日2〜3回)。氷を直接皮膚に当てると凍傷の原因になるため、必ずタオルで包んでください。冷却は受傷後48時間以内が効果的です。
やってはいけないこと
- 人間用の痛み止め(ロキソニン・バファリンなど)を与える → 犬には中毒を起こす成分が含まれ、命に関わります
- 骨折が疑われる足を無理に矯正しようとする
- 包帯をきつく巻きすぎる → 血行不良で壊死のリスクがあります
病院に行くときの準備
- 跛行している様子を動画に撮る:歩き方・走り方を複数の角度から撮影すると診断の手がかりになります
- いつから・どの足を・どんな状況で跛行が始まったかをメモ:散歩中・室内・運動後など具体的な状況を整理
- 悪化する条件を確認:朝がひどい、動くと楽になる、特定の動作で痛がるなど
- 体重を確認しておく:肥満は関節疾患のリスク要因のため、現在の体重を把握しておくと有用です
- キャリーバッグやカートを利用:病院までの移動で患部に負担をかけないようにしましょう
この記事の情報は一般的な参考情報です。個別の症状については必ず獣医師にご相談ください。