犬がおしっこを出せない — 尿閉は命の危険!緊急対応と原因

犬がおしっこを出せない — 尿閉は命の危険!緊急対応と原因

この記事は獣医師の監修を受けています

愛犬がトイレに何度も行くのにおしっこが出ない、ポーズをとるけれど数滴しか出ない——これは「尿閉(にょうへい)」と呼ばれる緊急性の高い状態です。尿が膀胱に溜まったまま排出できないと、腎臓に負担がかかり、最悪の場合24〜48時間以内に急性腎不全や膀胱破裂を起こして命を落とすこともあります。この記事では犬の尿閉の原因、今すぐ取るべき行動、そして予防策をまとめます。


犬がおしっこを出せなくなる主な原因

1. 尿道結石・膀胱結石

尿路にできた結石(ストルバイト結石やシュウ酸カルシウム結石など)が尿道に詰まることで、尿の通り道が物理的に塞がれます。特にオス犬は尿道が細長いため詰まりやすく、メス犬の約3〜5倍の頻度で尿道閉塞が発生するとされています。

2. 前立腺肥大・前立腺腫瘍

未去勢のオス犬に多い前立腺肥大は、加齢とともに前立腺が大きくなり、尿道を外側から圧迫して排尿困難を引き起こします。6歳以上の未去勢オス犬の約60%に何らかの前立腺肥大が見られるとも言われています。

3. 腫瘍(膀胱や尿道のがん)

膀胱の移行上皮癌(いこうじょうひがん)は犬に比較的多い泌尿器の悪性腫瘍です。腫瘍が膀胱の出口や尿道にできると、物理的に尿の流れを妨げます。

4. 神経系の異常

椎間板ヘルニアや脊髄損傷など、神経の病気で膀胱を収縮させる信号がうまく伝わらなくなると、膀胱にたっぷり尿が溜まっているのに自力で排尿できない「神経因性膀胱(しんけいいんせいぼうこう)」の状態になります。

5. 尿道の炎症・腫れ

膀胱炎や尿道炎がひどくなると、粘膜の腫れや血餅(けっぺい=血の固まり)で尿道が狭くなり、排尿が困難になることがあります。


今すぐ病院に行くべきサイン

以下が一つでも当てはまる場合は緊急です。すぐに動物病院へ向かってください。

  • 6時間以上おしっこがまったく出ていない
  • 何度もトイレに行くが一滴も出ない
  • お腹(下腹部)が張って硬くなっている
  • 触ろうとすると痛がって鳴く・怒る
  • ぐったりして元気がない・嘔吐がある
  • おしっこに血が混じっている、または真っ赤な尿が出る
  • 排尿ポーズのまま長時間いきんでいる

特に6時間以上完全に尿が出ない場合は、夜間であっても救急病院を受診してください。 尿毒症(にょうどくしょう=体内に老廃物が蓄積する状態)が進むと、不整脈から心停止に至るリスクがあります。


様子見してよい場合

以下のすべてに当てはまる場合は、翌日の受診でも問題ないことが多いです。

  • おしっこは少量ながら出ている(完全な閉塞ではない)
  • 食欲や元気がある
  • お腹の張りや痛がる様子がない
  • 水を普通に飲めている
  • 嘔吐やぐったりした様子がない

ただし、「少ししか出ない」状態が半日以上続く場合は念のため受診をおすすめします。完全閉塞に移行する前に原因を突き止めることが重要です。


自宅でできる応急処置

尿閉は基本的に自宅で解決できる症状ではありませんが、病院に向かうまでの間にできることがあります。

水を飲ませる

脱水を防ぐために新鮮な水をいつでも飲めるようにしてください。ただし、まったく排尿できていない場合に大量に飲ませると膀胱の圧力が上がるため、少量ずつ与えましょう。

お腹を無理に押さない

「おしっこを出してあげよう」とお腹を押すのは危険です。膀胱が限界まで膨らんでいる場合、破裂のリスクがあります。排尿の補助は獣医師に任せてください。

興奮させない

痛みやストレスで興奮すると血圧が上がり、腎臓への負担が増します。静かな環境で安静にさせ、できるだけ早く病院に連れて行きましょう。

記録を残す

  • 最後におしっこが出た時刻
  • 尿の色・量(写真があればベスト)
  • 排尿ポーズの回数と間隔
  • 食欲・水飲み・嘔吐の有無

病院に行くときの準備

  1. 最後の排尿時刻をメモ:「いつからまったく出ていないか」が診断の最重要情報です
  2. 尿の写真を撮る:少しでも出ていた場合は色や量が分かる写真を残しましょう
  3. お腹の張り具合を伝えられるように:いつ頃から張ってきたか時間経過を整理
  4. 既往歴・服用中の薬をメモ:過去に結石や膀胱炎と診断されたことがあるか確認
  5. ペット保険証を持参:尿閉の治療は検査・入院で数万〜十数万円かかることがあります

病院では尿道カテーテル(細い管を尿道に挿入して尿を排出する処置)が行われることが多く、場合によっては入院して点滴治療や血液検査が必要になります。


この記事の情報は一般的な参考情報です。個別の症状については必ず獣医師にご相談ください。

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この記事は一般的な獣医学知識に基づく情報提供を目的としており、獣医師の診察に代わるものではありません。 個々の状態は異なるため、少しでも不安がある場合は動物病院を受診してください。