犬の抜け毛がひどい — 換毛期?病気?見分け方と対処法
この記事は獣医師の監修を受けています
愛犬の抜け毛が急に増えて、部屋中が毛だらけ——。犬は定期的に毛が生え替わる動物ですが、「いつもより多い」「特定の部分だけ薄くなっている」場合は病気のサインかもしれません。この記事では正常な換毛と病的な抜け毛の見分け方、原因、自宅での対処法を解説します。
正常な換毛期の抜け毛
ダブルコートとシングルコート
犬の被毛にはダブルコート(二重被毛)とシングルコート(単一被毛)の2タイプがあります。
- ダブルコート:硬い上毛(オーバーコート)と柔らかい下毛(アンダーコート)の二層構造。柴犬・コーギー・ゴールデンレトリバー・ポメラニアン・ハスキーなど
- シングルコート:上毛のみの一層構造。プードル・マルチーズ・ヨークシャーテリアなど
ダブルコートの犬種は年に2回(春と秋)、大量の下毛が抜ける換毛期があります。この時期は毎日ブラッシングしてもごっそり毛が抜けますが、正常な生理現象です。
正常な抜け毛の特徴
- 体全体から均一に抜ける
- 皮膚に赤みや炎症がない
- ハゲ(地肌が見える部分)ができない
- 食欲・元気が正常
- 2〜4週間で落ち着く
病的な抜け毛の原因
1. アレルギー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎や食物アレルギーによるかゆみで皮膚を掻きむしり、毛が抜けます。特定の部位(顔・耳・足先・お腹)に集中した脱毛とかゆみが特徴です。
2. ホルモン疾患
ホルモンバランスの異常は、かゆみをともなわない左右対称の脱毛を引き起こします。
- 甲状腺機能低下症:代謝が低下し、毛が薄くなる・生え替わりが遅くなる。体重増加・元気消失・寒がりになるなどの症状をともなう。中〜大型犬の中高齢に多い
- クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症):コルチゾールの過剰分泌により皮膚が薄くなり、脱毛が進む。多飲多尿・腹部膨満(お腹がポンポンに膨れる)をともなう
- 性ホルモン異常:未去勢・未避妊の犬で性ホルモンの異常により脱毛が起きることがある
3. 皮膚感染症
膿皮症(細菌感染)やマラセチア皮膚炎(真菌感染)、皮膚糸状菌症(いわゆる水虫のような真菌感染)は、炎症とともに脱毛を引き起こします。
4. ストレス
環境変化や不安、退屈などのストレスから同じ場所を過剰に舐めて毛が抜ける「舐性皮膚炎」が起きることがあります。前足の手首付近に多く見られます。
5. 栄養不足
必須脂肪酸・亜鉛・ビタミンの不足は被毛の質を低下させ、抜け毛を増やします。
今すぐ病院に行くべきサイン
以下が一つでも当てはまる場合は早めに動物病院へ。
- 地肌が見えるハゲができている
- 左右対称に毛が抜けている(ホルモン疾患の疑い)
- 強いかゆみをともなっている
- 皮膚が赤い・かさぶた・膿がある
- 抜け毛とともに多飲多尿・体重変化がある
- 換毛期でないのに大量に抜ける
- 2か月以上抜け毛が治まらない
様子見してよい場合
以下をすべて満たす場合は自宅ケアで経過観察できます。
- 換毛期(春3〜5月・秋9〜11月)に一致している
- 体全体から均一に抜けている
- 皮膚に異常(赤み・かさぶた・ハゲ)がない
- かゆみがない、またはごく軽度
- 食欲・元気・体重が正常
自宅でできる対処法
ブラッシング
換毛期は毎日のブラッシングが最も効果的な対策です。死毛(抜けかけの毛)を取り除くことで皮膚の通気性を保ち、毛玉や蒸れによる皮膚トラブルを防ぎます。
- アンダーコートリムーバー:ファーミネーターなどの専用ツールで下毛を効率的に除去
- スリッカーブラシ:毛のもつれをほぐし、死毛を取り除く
- ラバーブラシ:短毛種に適した、皮膚をマッサージしながら抜け毛を集めるブラシ
シャンプー
換毛期にぬるま湯でシャンプーすると、死毛が一気に落ちて管理しやすくなります。保湿成分配合のシャンプーを使い、皮膚の乾燥を防ぎましょう。
食事管理
オメガ3・オメガ6脂肪酸をバランスよく含むフードは、健康な被毛の維持に役立ちます。フードの切り替えや手作り食を与える場合は、栄養バランスが偏らないよう注意してください。
環境の掃除
抜け毛対策として、粘着ローラー・ロボット掃除機・空気清浄機を活用しましょう。犬用のベッドやソファカバーはこまめに洗濯し、毛が絡まりにくい素材を選ぶと掃除が楽になります。
病院に行くときの準備
- 脱毛部位の写真を撮る:抜け毛の分布やハゲの有無がわかる写真
- 抜け毛の経過をメモ:いつから増えたか、季節との関係
- 食事内容:フードの銘柄と変更歴
- 生活環境の変化:引っ越し・新しい同居動物・ストレスの原因となりそうな出来事
- 全身状態の変化:体重の増減・飲水量の変化・元気の有無
この記事の情報は一般的な参考情報です。個別の症状については必ず獣医師にご相談ください。