犬の便秘 — 何日出なかったら病院?原因と自宅ケア
この記事は獣医師の監修を受けています
「今日もうんちが出ていない……」と心配になったことはありませんか?犬の正常な排便回数は1日1〜3回が目安です。丸1日(24時間)排便がない場合は便秘の可能性があり、2日以上出なければ動物病院への相談を検討すべきタイミングです。この記事では犬の便秘の原因、何日目で受診すべきか、そして自宅でできるケアを解説します。
犬の便秘の主な原因
1. 食事内容・水分不足
ドライフード中心で水分摂取が少ないと便が硬くなります。食物繊維の過不足も影響し、繊維が少なすぎると腸の動きが鈍り、多すぎるとかえって便が硬くなることがあります。フードの急な切り替えも一時的な便秘を引き起こします。
2. 運動不足
散歩や運動は腸のぜん動運動(腸が内容物を送り出す波状の動き)を促進します。雨の日が続いて散歩が減ったり、関節痛で動きたがらないシニア犬は便秘になりやすい傾向があります。
3. 環境の変化・ストレス
引っ越し・旅行・ペットホテル・来客など、環境変化によるストレスで排便を我慢してしまう犬がいます。トイレの場所や素材が変わった場合も同様です。
4. 異物の摂取
骨(加熱した鶏骨など)・石・布・おもちゃの欠片を飲み込むと、消化管内で硬い塊になり便通を妨げます。特に加熱した骨は腸内で粉々にならずセメント状の便を作ります。
5. 病気
- 会陰ヘルニア(えいんヘルニア):肛門周囲の筋肉が弱り、直腸が脱出・屈曲して排便困難になる。未去勢の中高齢オス犬に多い
- 前立腺肥大:未去勢のオス犬で前立腺が大きくなり直腸を圧迫する
- 椎間板疾患:腰の神経が圧迫され、排便に必要ないきみの力が低下する
- 甲状腺機能低下症:代謝が下がり腸の動きが鈍くなる
- 腸閉塞:腫瘍や異物で腸管が物理的に詰まる
6. 薬の副作用
抗ヒスタミン薬・利尿剤・オピオイド系鎮痛薬・制酸薬(水酸化アルミニウム)などが便秘を引き起こすことがあります。
何日出なかったら病院に行くべき?
- 1日(24時間):元気・食欲があれば自宅で経過観察
- 2日(48時間):食事・水分・運動を見直しても改善しなければ受診推奨
- 3日以上:便秘が3日を超えたら必ず受診。長期間の便秘は巨大結腸症(直腸が過度に拡張して自力排便が困難になる状態)に進行するリスクがある
今すぐ病院に行くべきサイン
- 何度もいきむが便が出ない+嘔吐がある
- お腹が張って触ると痛がる
- ぐったりして元気がない
- 排便時に鳴いて痛がる
- 血液が混じったわずかな便が出る
- 異物を飲み込んだ可能性がある
- 食欲が完全になくなっている
様子見してよい場合
以下をすべて満たす場合は、1〜2日間の自宅ケアを試せます。
- 便秘が始まって48時間以内
- 食欲・元気・水飲みは正常
- 嘔吐がない
- お腹を触っても痛がらない
- 異物誤飲の心配がない
- 排便姿勢をとるが便が出ない程度(激しいいきみや鳴き声はない)
自宅でできるケア
水分摂取を増やす
- ドライフードにぬるま湯をかけてふやかす
- ウェットフード(缶詰・パウチ)を混ぜる
- 鶏ささみや野菜のゆで汁(無塩)をフードに加える
- 水飲み場を複数箇所に設置する
食物繊維を補う
- かぼちゃ(加熱済み):体重5kgの犬で大さじ1程度をフードに混ぜる
- さつまいも(加熱済み・皮なし):かぼちゃと同様の量
- サイリウム(オオバコ):市販の犬用サプリメントが便利。使用量は製品の指示に従う
※市販の人間用下剤は絶対に使わないでください。犬には危険な成分が含まれていることがあります。
運動を増やす
- 散歩の時間を普段より10〜15分延長する
- 食後30分ほどで散歩に出ると腸の動きが促されやすい
お腹のマッサージ
犬を仰向けまたは横にして、お腹を時計回りにゆっくり円を描くようにマッサージします(1回3〜5分、1日2〜3回)。嫌がる場合は無理をしないでください。
病院に行くときの準備
- 便秘の経過メモ:最後に排便した日時・いきみの回数・便の硬さ
- 食事内容:フードの種類・量・おやつ・最近の食事変更
- 異物誤飲の可能性:噛んでいたおもちゃ・骨・ゴミ箱あさりの有無
- 服用中の薬・サプリメント:名前と用量
- 便のサンプル:少量でも出ている場合はラップに包んで持参する(寄生虫検査に使用できる)
この記事の情報は一般的な参考情報です。個別の症状については必ず獣医師にご相談ください。